【起業家の心得】起業家は「みにくいアヒルの子」? #起業家 #アントレプレナー  #ベンチャー #Startup

起業家は、自分が「みにくいアヒルの子」だと感じることもしばしばです。でも人の幸せはいろいろです。くじけずに頑張りましょう。(YouTube動画はこちらです。)

皆さんは「みにくいアヒルの子」というアンデルセンの童話をご存知ですよね。アヒルの群れの中で姿の違ったひなが生まれて、アヒルの群れから仲間外れにされます。お前は違う、みにくいと。絶望したひなは群れから離れて、アヒル以外のいろいろな鳥の群れに入れてもらおうとするのですが、拒絶されてさみしく白鳥の住む湖に向かいます。いつの間にか育っていたひな鳥は、水面に映った姿を見て自分はアヒルではなくて白鳥であったことに気づく、というストーリーです。

この物語の教訓についてはいくつかの解釈があると思います。一つは、人々は物の本質を見ないで、みんなと違うと(見た目、性格、物の見方など、場合によっては国籍も)仲間外れにする、また、逆にみにくいヒナも、自分がみんなと違うから仲間に入れないんだと思ってしまう、ということですね。また、別の解釈は、自分の他の仲間と異なった見た目がコンプレックスに思っていたヒナは、白鳥の群れと一緒になって初めて実はそれが個性であったのだということに気づいたということです。自分の存在を周りが認めないので、自己否定をしていた、ということですね。ベンチャー起業家もこの「みにくいアヒルの子」の立場になることがしばしばあります。ここでもう一つ重要なのは、白鳥のほうがアヒルより格が上、ということではないことです。

私も大学の同窓会で「自分は医者をやめて、ビジネススクールでMBAをとるんだ」と言ったところ、「えー、なんで医者をやめて、タイピングとか秘書業務の勉強するんだい?」と驚かれたことがあります。これは30年以上も前のことなのですが、当時はビジネススクールというと、津田スクールオブビジネスといういわゆる秘書業務を教える専門学校がとても有名で、山手線の駅に広告がたくさん出ていました。そういうことで、日本で‘ビジネススクールというと、秘書業務(いまでは秘書という言葉は死語でしょうか)を勉強する学校だったんですね。私がビジネススクールとかMBAとか言っても、特に医師の世界では何を言っているのか全くわかってもらえなかったということです。

最近のニュースではベンチャーの話題がずいぶん増えてきましたが、例えば皆さんが高校の同窓会に行って、「自分は今の会社を辞めてベンチャーを起業するんだ」、というと、たぶん多くの同級生は「なんで?」と質問してくることでしょう。ベンチャーを起業してもしばらくは、異業種交流会などで「あなたはどちらにお勤めですか?」と訊かれたとき、「ベンチャーを1年前に企業したんです。」「すごいですね、なんというベンチャーですか?」「ABCテクノロジーです。」「聞いたことないですが、頑張ってください、では。」ということになります。会話が続きません。私も同窓会だけでなく、いろいろなパーティーで何度このような会話をしたことか。そのたびに自分に言い聞かせてきました。自分は、いまは「みにくいアヒルの子」なんだと。こういうみにくいアヒルの子体験をすると、自分が白鳥になったときには、みんないろいろな人生があるんだっていう気持ちになりますし、他人の状況、例えば大企業でずっと働いている同級生や友人を羨ましいとは思わないですね。個人個人みんな違うし、それぞれの幸せも違うんです。ただ、この「みにくいアヒルの子」、の時期には、友人に比べてとても出遅れている感じになります。友人たちは大企業でどんどん出世、といういい方が適切かわかりませんが、責任のある立場になっていく。例えば、高い塀があるところで、友人たちは背伸びをして歩いていくということです。塀の向こう側を一生懸命見ようとしている。一方起業家を目指すあなたはしゃがんで黙々と準備をしている。文字通り上から目線で、「お前は何をしているんだ。背伸びをしながら歩いていくと塀の向こう側も見えるんだぞ。」と、ときには見知らぬ人に言われます(あなたの両親からもこのような内容のコメントを貰うこともあるでしょう)。でもしゃがんでいるあなたはタイミングを見て、飛び上がる、ジャンプするわけです。塀の上にのぼれて向こう側がよく見えるし、あなたの選択で、塀の向こう側にも行かれるのです。背伸びしている人たちはジャンプできません。

起業を目指す方々、ベンチャー起業家は大変なことも多いですし、「みにくいアヒルの子」でいる時間が想定したより長くなることもあります。体力的にも精神的にもタフであることが必要ですが、みんなと違って塀の向こう側にも行くことができるようになるんだということを思って頑張っていきましょう。ジャンプするチャンスは必ず来ます。

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