【起業家の心得】ヘッドハンターとの付き合いかた #ヘッドハンター #Headhunter #ベンチャー

近年では日本でも中途採用もかなり盛んになってきて、人材の流動性も増してきました。それと同時にヘッドハンターの活動も活発になってきていると思います。日本ではヘッドハンターというと、人材を商売の対象にしているといったちょっと暗いイメージがあるかもしれません。ですが、実は雇用者である企業と就職・転職を考えている人とをつなぐ、言ってみれば仲人のような仕事です。(YouTube動画のリンクはこちらです)

アメリカではヘッドハンター、エグゼクティブリクルーターといいますが、この仕事は企業側にとっても転職する人にとっても重要で、特にポジションが上がっていくにつれてその重要性が増していきます。専門の会社、Executive Search会社というのですが、グローバル大手としてはスイスが本部の Egon Zehnder、アメリカの Korn Ferry, Russel Reynolds, Heidrick and Struggles, Spencer Stuartなどが良く知られています。これらのExecutive Search企業は、原則として、社長を含めて役員以上のポジション、アメリカではC-Suite(重役室)の人材といいますが、のリクルートをします。つまり現在部長以上のポジションの方々を対象に、クライアントが探している役員のポジションにリクルートするということですね。

日本ではまだ一般的ではないですが、例えば社長のポジションが空席になるとき、または空席になったときには、その企業にとって世界で一番適した人をそのポジションにつけたいですよね。ということで、大企業、特に上場企業では、企業統治、ガバナンス・コンプライアンスの面から社長選考委員会というのを作ります。この選考委員会のメンバーは社外取締役が中心で、外部から選考委員を入れる場合もあります。この社長選考委員会は、新社長の候補者を社内、社外と分け隔てなく募り、評価をします。この時に特に社外から良い人材をリクルートするのにExecutive Search会社を使います。Executive Search会社は豊富な人材のネットワークやリストを持っていて、職務内容や業界経験の必要性に応じて候補者を探します。

社長だけでなく、役員のリクルートの場合でも、スケールは小さいですが、同じようなプロセスがあります。ヘッドハンターはまず、電話で候補者となりそうな人材に連絡を取ります。私もベンチャーで仕事をしていたころは、いろいろなヘッドハンターからコールドコールの電話が来ていました。例えばどのような会話になるかというと、「グローバル大手の製薬メーカーが経験豊富な事業開発担当副社長を探しているんですが、どなたかよい方をご存知ありませんか?」という感じの切り口で来ます。クライアントの会社名は最初は出さないですね。さて、みなさんはこの後どのように会話をしますか? このポジションに合いそうな方を知らない場合、「すみません、誰も思い浮かばないです、さようなら」と電話を切りますか? これではダメです、ゼロ点。 誰も思い浮かばない場合でも、「いますぐ私の周りでは思い浮かびませんが、仕事仲間のXXさんがどなたかをご存知かもしれませんのでご紹介しましょうか。」とヘッドハンターの仕事を手伝う、これで50点。ではどう返事すべきかというと、それに加えて、「すぐには思い浮かびませんが、もう少しそのポジションのお話を聞かせていただけますか?」ということです。いま、あなたが現在の仕事に満足していて転職など考えていなくてもです。どういう経緯かわかりませんが、ヘッドハンターがあなたの連絡先を知って、電話をかけてきたんですね。これは、あなたのことを有能な人材として誰かがヘッドハンターに情報を与えたということです。ヘッドハンターの本音としては、あなたがこのポジションに興味を持ってくれれば一番いいのです。今すぐに転職に興味がなくてもこう言う会話をする意味は、ヘッドハンターといい関係を築いておくとあなたのところにいろいろなポジションの情報が来るというメリットがあるからです。そのうち何かあなたが求めているようなポジションと巡り合えるかもしれません。この最初の電話をきっかけにヘッドハンターといい関係を築いて行くのです。

日本ではこういうヘッドハンター側からのコンタクトがまだ普通でないので、ヘッドハンターからの電話に、「俺は人材売買の商品ではないぞ」とムッとして電話を切る人が多いかもしれません。これははっきり言って誤りです。私もボストンでベンチャーに勤務している時にはいろいろなヘッドハンターから連絡が来ていました。私をリクルートしようという案件ばかりでなくて、本当に誰か良い方を知りませんかという相談も多かったです。私の場合も、ヘッドハンターからの案件でいろいろ面接にも行きましたが、結果として私の3回の転職はヘッドハンターからの案件ではなく、個人的な縁でした。一方、私がCEOになって役員の人材を探すときには、以前からこのように良い関係を維持していたヘッドハンターに手伝ってもらいました。一般にヘッドハンターの報酬は、彼らがリクルートするポジションの基本給の30-35%です。もちろんヘッドハンターを雇った企業が全額払います。高いように思うかもしれませんが、成功報酬ですし、役員以上のポジションですと雇用契約の締結までに6か月以上ほどかかることもしばしばですので、実は大変な仕事です。

今日はヘッドハンターからコールドコールが来た時には、あなたにとっては自分のことを良く知ってもらういい機会であるということ、また、怒って電話を切らないようにしましょう、ということでした。では今日はこの辺で。

コメントを残す