【経営者の心得】ダイバーシティとインクルージョン、その一歩先のエクイティの重要性    #経営, #ダイバーシティ, #diversity, #インクルージョン, #inclusion, #エクイティ, #equity

ちょうど東京オリンピックが開幕しましたが、オリンピックのテーマの一つはダイバーシティとインクルージョンですね。ダイバーシティは多様性、そしてインクルージョンは受容とか包容という日本語訳になると思いますが、いろいろなバックグラウンドの方々を積極的に受け入れていきましょうということです。もちろんコミュニティもそうですけれども、特に会社組織でのダイバーシティとインクルージョンの実践がすごく重要になってきています。今日はその一歩先の第3の要素、エクイティ・公平性というコンセプトについてお話致します。例によって私のYouTubeチャンネルに動画をアップしていますので合わせてご覧ください。

日本も徐々にかわってきていますが、アメリカはもともといろいろな人種が集まっている社会なので、この多くの人種をどのように融和して行くかということが課題になっています。人種差別がなくなってからも無意識のうちで人種差別が長く続いていましたが、近年はダイバーシティとインクルージョンの考え方が広まってきて、コミュニティはもちろん、企業もいろいろな方(便宜上マイノリティーと言いますが)を積極的に採用するようになってきました。 数だけを見てみると、アメリカでもまだまだ女性や黒人のエグゼクティブが少ないという状況はあります。ただし少しずつ改善に向かってきていると思います。

今日のトピックのエクイティ・公平性は、まだ組織マネジメントの面からはあまり馴染んでいないコンセプトかもしれません。ダイバーシティとインクルージョンが奨励され、会社に色々なバックグラウンド人たちが入ってきて、チームメンバーとして一緒に仕事をするという環境にはなってきていますが、実はこの1歩先、エクイティ・公平性、ということが実はとても重要です。今ではダイバーシティとインクルージョン(D&I)ではなく、ダイバーシティ、エクイティとインクルージョン(DEI)というようになっています。

例えば、会社でブレインストームミーティングをやっていて、チームメンバーの女性がある提案をしたとします。周りは反応しないでスルーしてしまう。そして10分後に、全く同じ内容の提案を別の男性のメンバーが発言したとしましょう。そのときにチームリーダーが「そうだね。その考え方いいかもね」というコメントをする。些細な事かもしれませんが、無意識下での態度の違いっていうのでしょうか(差別?)これがしばしば見られるのですね。 私の場合も、アメリカではマイノリティの日系アメリカ人・アジア人ということで同じ様な体験をしたことがあります。「さっき私が言ったよ、この人パクってるな」って思います。

こういう経験を何度もすると、自分の意見を言うときには、きちんと聞いてもらえるようにはっきりと言う、強めに言う、という習慣がついてきます。一方、最初から諦めて発言をやめてしまう方も非常に多いです。どちらにしても結構なストレスですよね。黙っていると、そのチームメンバーはダイバーシティでの単なるマイノリティの頭数ということになってしまいます。そしてチームに貢献していないと評価されてしまいます。悪循環ですね。組織として公平さ・公正性の意識がいまひとつです。

しかしながらダイバーシティ、インクルージョンに加えてエクイティ・公平性の意識が組織に行き渡ると、前述のように無駄な努力をして発言するという必要がなくなってきます。エクイティの重要性がわかっているリーダーは、マイノリティメンバーから発言がないようなときには、「なにか意見やコメントはありませんか?」とチームメンバー全員の意見を取り入れようと振ってくれるわけです。

それと、エクイティのもう一つの重要性は、 マイノリティメンバーが良い成果を出したり良い仕事をしたりしたときに、リーダーやチームメンバーがきちんと認める、認識するということです。公平な評価をするということです。

ダイバーシティとインクルージョンということを、社会はもちろん会社組織でも、特に人事担当の人たちは腐心されて実行してきていると思います。ダイバーシティというのは結局数の問題なので、目標を達成しているかどうかは明らかですよね。何パーセントの社員がマイノリティか、女性の管理職が何パーセントかということは統計で出せるので、目標に達成しているかの評価は比較的簡単です。一方、インクルージョンは組織マネジメントの質的な課題です。インクルージョンというのは、マイノリティの社員が組織の中できちんと受けられているか、単にチームメンバーとしているだけでなく本当の意味で仲間に入れてもらえているか、どう扱われているだろうかというところがポイントになります。

そしてその先にエクイティ・公平性があります。公平に意見を言う場をもらえて、公平に意見を取り入れてもらえる。 また、プロジェクトが進んで成果が出た場合に、公平な評価をしてもらえると言うことです。ですから、アメリカではダイバーシティ・インクルージョンの先のエクイティが非常に重要なポイントになっています。

アメリカのテレビドラマで「スタートレック」という番組がありましたが皆さんご存知でしょうか。映画にもなっていますが、Sci-Fiのテレビ番組で、地球人の宇宙船の船長が、特殊能力を持っているXXXX星人の乗組員とチームを構成して、みんなで力を合わせていろいろな問題を解決していくというストーリーです。チームにはXXXX星人という人たちがいっぱい入っていて地球人は決してマジョリティではないという環境です。テレビ番組ですけれども、非常に学ぶことが大きいと思いました。特にダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの観点からご覧になると興味深いと思います。

今日は組織マネジメントにとってとても重要な、エクイティ・公平性についてまとめました。ダイバーシティ、インクルージョン、エクイティ、この3原則を意識しながらベンチャー経営、企業経営、チームのマネージをされていってください。皆さんのお役にたてれば幸いです。ではまた次回。

 

コメントを残す