ライフサイエンスの新規技術は、大学や研究所から生まれることがしばしばです。ラボで研究を続け、新規技術を商業化していくのですが、大学で商業化の研究を続けるわけにはいかず、ベンチャー会社を設立する必要性が出てきます。
ライフサイエンスのベンチャーの設立には、研究用の特殊な機器の購入、いわゆる設備投資が必要です。これらの特殊機器は非常に高価です。そこで、ラボ、研究用機器をシェアして使えるインキュベーターのような施設が重用されます。
医薬・ヘルスケア業界大手のジョンソンアンドジョンソン社の製薬部門にJanssen(ヤンセン)社があります。Janssen社はサンディエゴに大きな研究所があるのですが、その一部をライフサイエンスインキュベーター、J-LABs、として一般に公開しています。2012年にJ-Labsをサンディエゴにオープンして以来、アメリカ・カナダにさらに5ヶ所(South San Francisco, San Francisco, Cambridge MA, Houston, Toronto)をオープンしています。サンディエゴのJ-LABSには約50社のベンチャーが入居しています。
親会社ジョンソンアンドジョンソン社も、同様のコンセプトでJohnson & Johnson Innovation Center を Boston、Menlo Park CA、London、Shanghai に開設し、グローバルに戦略を拡大しています。このインキュベーションセンターでは新規医薬品のみならず、医療機器やコンシューマーヘルスケアプロダクトのベンチャーも公募しています。
J-LABSのテナントになるには、厳しい審査を通らないとなりません。一方、Janssen社(Johnson &Johnson 社)としても、新規性のあるバイオ技術や新薬の種があったら、他社に先駆けて評価し提携したいという意図があります。