Tech Coast Angels(TCA)は、アメリカでのエンジェル投資家グループの草分け的存在です。1997年に創立されて以来、南カリフォルニアを中心に活動を続けています。多くのエンジェル投資家グループと同じように「支部」があります。南から、サンディエゴ支部、オレンジ郡支部、ロサンゼルス支部、サンタバーバラ・ベンチュラ郡支部、インランド・エンパイア郡(リバーサイド・サンバーナーディーノ地区)の5つの支部があり、合計300名ほどのエンジェル投資メンバーが所属しています。支部としてはサンディエゴが一番大きく、約100名のメンバーがいます。メンバーは、成功した起業家や、リタイアした大企業のExecutive、医師などが多いです。
1997年の創立以来、180社以上のベンチャーに合計$110mm以上の投資をしています。エンジェル投資ですので、すべてメンバーの自己資金です。あつかう分野は広く、ハイテク、バイオ、をはじめ、コンシューマープロダクトなどのベンチャーにも投資します。
ほぼ毎月、投資案件の検討会があります。この検討会では、ベンチャー4~5社にそれぞれ20分のプレゼンテーションと10分の質疑応答の時間が割り当てられます。全社のプレゼンテーションが終わったあと、メンバーだけでディスカッションをします。このときに「興味」のあるメンバーが複数いると、それらのメンバーをボランティアとして、さらに詳しい案件評価(Due Diligence)をはじめます。ベンチャーと個別にミーティングをしたり、専門家に聞き込みをしたり、特許を確認したりします。ある程度評価がまとまった時点でメンバー全体に経過報告をします。このプロセスを踏んで投資に興味を持つメンバーが増えていくと、タームシート(投資の条件)の交渉となり、合意に至ると晴れて投資となります。1社あたり、だいたい$0.5 – $1mmの投資額になることが多いです。
月例の投資検討会の前にもPreScreeningがあって、書類を送られてきたり、紹介されたりしたベンチャーの事前評価をします。月例検討会でプレゼンテーションに選ばれるのは全部の案件の10%ほどでしょうか。そして、この投資検討会の後に次のステップに進むのは半分以下ですし、最終的に投資となるのは年に10件あるかないかでしょうか。エンジェル投資のハードルはとても高いです。