コーヒーブレーク : ベンチャーの起業と資金調達

今日はちょっとコーヒーブレークをしましょう。(雑談です)

ベンチャーの起業は、いわゆる中小企業の起業とは若干違う面があると思います。従来の意味での中小企業は、工場や店舗の開設資金を工面(自己資金、借金、融資など)して事業を始め、売り上げの中から借金を返済していきます。単純な言い方かもしれませんが、家を買うときに銀行ローンを組むのと似ていますね。

中小企業とベンチャーは何が違うのでしょうか。ベンチャーの定義はいろいろあると思いますが、私が考えるのは、ベンチャーは起業してから売り上げが出るまで時間のラグがあるということです。つまり、サービスベンチャーにしても製品ベンチャーにしても、コンセプトから製品開発に時間と資金がかかり、売り上げなしの赤字経営がしばらく続くということです。また、ベンチャーは今までにない製品やサービスを提供しようというので、売り上げの予測が立てにくい(不確実性の要素がある)ということです。すなわちとてもRiskyであるということです。

ベンチャー起業をする場合、たいていはまず自己資金(自分の貯金、家族・親戚や友人からの借金・支援金)で当初の経営資金の目処をつけて会社を立ち上げます。新規事業が軌道にのっていくにつれて(売り上げがまだ無くても、製品開発が予定通りに進んでいく)、事業資金がさらに必要になっていきます。さて、どうしますか?

1)家族、親戚、友人にまた頼る(追加の借金)、2)自分の全財産を売り払って資金にする。(家、土地、など)、3)起業以来の実績を元に銀行などから融資を受ける、4)投資家を募る、と大体この4つの選択がありますね。

1)家族・親戚、友人からの借金は、ベンチャー起業した人が絶大の信用があるとか、よほど愛されているとかでないと難しいですよね。この資金は私は「愛情の投資資金」といっています。たぶん、貸したお金が戻ってくることはないと思っていて投資をするんですね。ほぼ寄付の感覚です。

2)自分の全財産を売り払って資金にする、のは昔から言う「田畑を売り払って」ひとつのことに投資をするということですね。ものすごい覚悟の上の投資で、「信念の投資資金」ともいうべきものですね。この信念の投資をした日本人の起業家として有名なのが、上野隆司氏です。上野氏は慶應医学部卒の医師で起業家です。Sucampo Pharmaceuticals社(アメリカ)とアールテック・ウエノという二つの製薬ベンチャーを立ち上げ、両社とも株式上場、売り上げ3000億円という、ベンチャーとしては大成功した例です。上野氏は、まだ製品開発の時期に自分の家を売り、事業資金に充当しました。外部の投資家から資金を受けて、会社のコントロールをされたくないという一心だったようです。彼の著書を読まれるとその経緯が良くわかります。いまどき大変珍しい起業家です。

3)銀行からの融資、というのはベンチャーではまず無理ですね。ベンチャーの財産というのは、基本的に知的財産(特許、ノウハウ、業務秘密)などですから、評価額がつけられず、銀行は融資をしません。担保にならないということでしょうね。ただ、最近は公的ベンチャー投資があるので、条件によっては公的資金の支援を受けることができるようになってきています。

4)ベンチャーの資金調達で一般なのは、外部の投資家を募るということです。日本とアメリカの事情はずいぶん異なります。アメリカではここで、エンジェル投資家(グループ)が登場することが多いです。日本には、アメリカのような組織だったエンジェルグループがありませんから、資金調達は少々大変です。ベンチャーの技術が大学発の場合は、大学のベンチャーファンドが支援することが多く、その場合は何とか初期資金を繋いでいくことができます。また、国内のVCの中ではシード段階(非常に早い段階)のベンチャーに投資をするグループもあるので、丹念に努力していけば何とか資金調達をできるかもしれません。ただし、資金がショートしていくと、製品開発のタイムラインが遅れて、資金調達がしにくくなるという悪循環になるので、ベンチャー経営陣は綿密な資金調達戦略を練る必要があります。

日本でも、個人レベルでビジネスエンジェルとして投資をしたというニュースを時々耳にします。最近、楽天の三木谷社長がサンディエゴのバイオベンチャーのAspyrian Therapeutics社に$40mmの投資をしたというニュースがありました。エンジェル投資でこの額は超破格です。3年ほど前から三木谷氏がこのベンチャーに投資をしているという話は耳にしていましたが、きっと大きな進捗があったんでしょうね。

会社を立ち上げてまもなくのリスクの高いベンチャーに投資する方々は、エンジェルというより神様・仏様みたいですね。