世界を変えたサンディエゴの人々(その2)

世界を変えたサンディエゴの人々のその2、のブログです。サンディエゴは産業として、ライフサイエンス、環境サイエンス、とテレコミュニケーションがこの30年から50年の間に急速に発展したので、どうしてもその分野での「大物」が多いです。

前回ソーク研究所の研究者にノーベル賞受賞者が多いという話をしましたが、研究所を開設したSalk博士を紹介していなかったですね。

Jonas Salk (October 28, 1914 – June 23, 1995)
ポリオという病気はポリオウィルスによって引き起こされる神経系の感染症で、日本では小児麻痺といわれる病気です。ポリオウィルスに感染すると脊髄炎となり、命取りになるか、重篤な神経症状(小児麻痺)が後遺症として残るという重篤な感染症でした。Salk博士は1950年代にポリオワクチンを開発し、成功を収めました。不思議なことに、彼はノーベル賞を受賞していません。前回のブログで書いたように、1963年に設立したソーク研究所の共同研究者や彼の弟子は次々とノーベル賞を受賞しています。1995年に亡くなるまで後進の指導にあたりました。

J. Craig Venter (October 14, 1946 ~)
Venter博士は遺伝子工学の巨人の一人です。皆さんは1990年代後半のヒューマンゲノムプロジェクト(ヒトの全遺伝子配列を解明するプロジェクト)というのを覚えていらっしゃると思います。Venter博士は、1975年にUCSDで博士号を修得した後、ニューヨーク州立大学バッファロー校で教授をし、1984年にNational Institutes of Healthに移りました。彼の専門は分子遺伝学で、遺伝子解析を行っていましたが、ヒューマンゲノムプロジェクトが正式に立ち上がると、そのチームに加わりました。さらにはCelera Genomicsというベンチャーを立ち上げ、そのCEOとして、NIHと競争で人の全ゲノムの解析に注力しました。2000年には人の全ゲノムの解析に成功し、NIHのFrancis Collins博士とともに大々的な記者会見を行ってその発表をしました。その後、彼はJ. Craig Venter Instituteを設立し、引き続き遺伝子の機能の解析と、合成生物学(Synthetic Biology)のパイオニアとしての研究を続けています。現在サンディエゴのLa Jollaに在住で、まだまだ現役で活躍されています。

Mario Molina (March 19, 1943 ~ )
Molina博士はメキシコ生まれのChemistです。長年の大気中のChrolofluorocarbon (日本で言ところのフロンガス)がオゾン層を破壊し、地球の温暖化を引き起こしていると警鐘したサイエンティストです。この業績をもとに1995年のノーベル化学賞を受賞しています。2004年からはUC San Diegoとスクリプス海洋研究所で研究を続けています。

Sol Price (January 23, 1916 – December 14, 2009)
Price氏はサンディエゴの起業家です。皆さんはCOSTCO(日本ではコストコって呼んでますね)は良くご存知と思いますが、その前身のPrice Clubの創立者です。1976年にPrice Clubを設立し、1980年に株式上場、1993年にはCOSTCO(Price氏のもと部下が設立)と合併しました。それだけではなくて、彼にまつわる逸話があります。まだ人種差別が残っていたころ(1970年代の中西部)、Price Clubではトイレに白人用、黒人用と分けず、一つのトイレをみんなで使用するようにしたこと、また、スナックコーナーではテーブルを置くと白人用席、黒人用席と区別がついてしまうので、椅子もテーブルも置かずに、白人黒人が一緒に食べるように意図的に店をデザインしたということです。サンディエゴではCOSTCOのあるショッピングセンターに、まだPrice Plazaと看板が残っているところがあります。

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