【起業家の心得】VCとは? VCのことを良く知ることは必須!

今日はベンチャーキャピタルについてのお話をいたします。この起業家の心得シリーズではベンチャー経営者の皆さんにとってお役に立つ ことをお伝えしてまいります。

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ベンチャーは、自己資金で始めるのが通常ですが、しばらくすると外部投資家の支援が必要となります。

今日は新株発行による資金調達リソースとして重要なベンチャーキャピタル, いわゆるVCのお話をします。VCからの資金調達に成功するためには、VCとは何ぞや、ということをよく知っておく必要があります。

VCは、事業リスクを分析した上で将来性のあるベンチャーに投資をし、投資利益を得るというのが 仕事です。一般にVCは第三者のお金を預かって投資運用をしているので、VCにピッチをする場合には、あなたのベンチャーに投資することで、どのようなリターンがどのようなタイミングで出るのかというシナリオをきちんと説明しないとなりません。これが投資家ピッチです。もちろんVCも彼らなりに分析評価をしますが、 彼らは 評価する案件の数がものすごく多く、ピッチでのスクリーニングを通ったベンチャーにしか時間を費やす事はしません。私のような個人のエンジェル投資家でも、ピッチイベントやベンチャーショーケースなどで、2020年の一年間に350件ほどのピッチを聞いて案件スクリーニングをしています。

私のプレゼンの極意のビデオシリーズでも話していますが、VC またその他の投資家と話をする場合には、要点を簡潔にまとめるだけでなく、10分程度の短いピッチの間に信頼を勝ち取るということが極めて重要になります。また同時にVC内のメンバーであなたの会社を推してくれる人をつくる、つまり、あなたの代わりに内部で説得してくれるようなサポーターを作ることも重要です。だらだらと話をするベンチャーとはVCは二度と会いません。そういう評判が立つと、ほかのVCとの 面談のアポもとりにくくなります。

また、VC側の事情を良く理解しておきましょう。前に申し上げましたようにVCは第三者のお金を預かり、ファンドと呼ばれる投資組合を作り運用をしています。このVCファンドへの投資家、つまり投資運用の依頼主は有限責任組合員、Limited Partner, 略してLP、と呼ばれます。このLPの多くは年金や保険会社で、投資運用資金の一部をVCに委託します。VCはこの預かったお金を運用して、償還期限でLPに戻さないといけません。償還期限は一般に10年間です。例えば2020年に 新しいファンドを立ち上げた場合、 10年後の2030年に LPに償還する義務があるということです。当然ですが、その10年間でどのくらいの 投資利益が上がっているかということが大変重要になります。

年金や保険会社は VCファンドのLP として投資運用する金額は、全体の運用額の数パーセントにしか過ぎません。ほとんどは上場株式のMutual Fund(投資信託)、債券、REITと呼ばれる不動産トラストなどに分散投資をしています。VCファンドに投資委託する部分はハイリスク・ハイリターンの運用の部分で、全体の投資ポートフォリオの一部として分散投資をしているわけです。VCの報酬は、ファンドから年間2-3パーセントのマネジメントフィート言われる投資運用手数料、およびCarryというLPとのProfit Shareから成り立っています。リスクにみあった投資リターンが出ない、また、ほかのVCファンドと比較してリターンが低いということになりますと、当然のことながら商売あがったりということになります。つまりVCは、投資リターンを出せないとLPから次のファンドに資金を委託されなくなるというわけです。

先ほど、ファンドの償還期限が10年ということをお話ししましたが、VCに資金調達のピッチをする場合には現時点でファンドの何年目にあたるかということを知っておくのが重要なポイントです。一般にファンドが組まれて最初の5年間に新規案件を評価して投資します。後半の5年間は、投資先への追加投資と投資回収に専念します。そのようなわけで、ファンドが6年目から10年目のVCに一生懸命にアプローチをしても無駄というわけです。

また、VCの投資案件の評価プロセスとしては、1億円投資する場合も10億円投資する場合も手間はほぼ同じです。ですのでファンドの額が大きいVCは、少額の投資案件を数多く評価して投資するというよりも、一件当たりの投資額の大きい案件を数少なく評価して投資するという傾向があります。そういう事情で、巨額なファンドはいわゆるユニコーンと言われるようなベンチャーに一度に何十億円も投資するわけです。VC側に立って、自分のベンチャーの資金調達額やベンチャーのステージがターゲットのVCにどのようにフィットするかということもよく考えておきましょう。また、VCによっては投資領域も決まっていて、医療機器にのみ投資するファンドに新薬開発ベンチャーがアプローチしても時間の無駄ということです。

VCへの資金調達ピッチの準備は、言ってみれば 大学受験の時に「傾向と対策」を知って勉強するのと同じです。VCが、どのようなベンチャーに、どのくらいの金額の投資をしているかということもよく調査しましょう。相手のことをよく研究してから立ち向かうという基本原則が大切です。

ベンチャーのCEOの仕事は、その90%が資金調達と言っても過言ではありません。資金がショートするとプロジェクトの進捗、人事採用計画などに大きく影響が出てしまいます。どのVCに投資してもらうかということも大切なのですが、背に腹は変えられない場合があり、とにかく 話を聞いてくれるというVCとは必ず会うという姿勢も重要です。例えばニューヨークやロンドンのVCから連絡が来て、面談のキャンセルが出たので明日なら会えますよ、ということになったら、すべての予定を変更してでも会いに行くということです。なぜかというと、あなたが会いに行かなかったらほかのベンチャーがアポをとり、そのVCから投資を受けてしまう可能性があるからです。

まとめです。VCからの資金調達をしようとする場合、ベンチャー側としては良く調査すべきことは3点あります。

  • ターゲットとするVCのファンドがいまどの時期なのか、つまりファンドを立ち上げて5年以内なのか、5年目以降なのか?
  • どの事業領域に重点的に投資をしているのか
  • どのステージのベンチャーに投資をしているのか? あなたのベンチャーがアーリーステージとして、そのようなステージのスタートアップに投資をしているのかどうか。また、その場合、ベンチャー1件あたりにどのくらいの額を投資するのか。

ベンチャーのCEOはタイトル的には社長なのですが、社内で一番労働時間も長く、非常にストレスの多い激務だと思います。道は必ず開けてきますので頑張っていきましょう。

では今日はこの辺で。